「価値観の違い、ってやつかな」【風子のいる店/岩明均】
忘れた頃にエントリー!
「風の子のいる店」の登場人物である田島はものすごい足が速く、全国レベルが狙えるようなタイムをたたき出せるにもかかわらず、いつもブラブラしてばかり。そんな田島を見かねて陸上部の顧問が「お前なら全国が狙えるのに」とたたきつけるんだけども、田島は一向にその気がなく、「価値観の違い」と切り捨ててしまう。
田島のように、足が速いからといってその才能を活かすことだけが幸せとは限らなくて、自分のやりたいことと才能が結びつくことはとても幸せだと思うけど、そうでないケースも多々ある。才能を活かして評価されることが幸せなのか、才能はなくとも自分のしたいことを追求できることが幸せなのか、ここは難しい問題ではあるけれど、1つだけ言えるのは「他人がどうこういう問題ではない」ってことかな。
ちなみに田島くんの場合は見事にボクシングという、才能を活かしながらも自分が熱中できるジャンルを見つけられるのでした。
この「風子のいる店」というのは、これ以上ないほどに凡庸な女子高校生の物語をここまで引きつけるストーリーに仕立て上げるという店で岩明均の才能があふれまくってる逸品だと思います。寄生獣もいいけど風子もかなりちがった魅力をもった作品としてオススメですよ。